墨の力強さと繊細さで表現される躍動感。

 墨絵アーティスト西元さんの描く作品の特徴は、その躍動感。まさに今ボールを蹴ろうとする人のそのスピードや大空にうねりを描く竜の姿が、墨で和紙に描き出される。「絵を描くのは幼い頃から好きでした。漫画を描いていたんですが、ずっと机に向かうことが自分には合わなかった。表現したいものをストレスなく描けるのが墨だったんです」。作品制作にかかる時間はB1サイズの大きさで20~30分。下描きなしで直接描き出す姿に圧倒される。「スピードが大切です。描きたいと思ったそのままの気持ちで筆を動かしていきます」。墨絵という伝統的な手法を持ちながら、西元さんの作品は観る人や場所を選ばない。その自由さから店舗の内装やイベントでのライブペイントの依頼も多い。「店舗に描くと作品が空間の一部になるのが嬉しいですね。多くの人の視線の中で作品を仕上げていくライブペイントもどんどんやっていきたいです」。作品を仕上げていく筆の動きと同様、活動は迷いなく進む。「絵を描くことは自分の一部ですね。生活から切り離せない。生きる上での武器とも言えるし、理想の自分に近づく為の手段でもあります」。そうまっすぐな目で語る西元さん。その作品と姿は、きっと観る人の心を刺激していくだろう。


和紙や筆は自分に合うものを探している段階。観た人が自分の作品だと一目でわかるような作品を作っていきたいと語る。

ライブペイントでの作品は残さずに捨ててしまうという。それは同じ空間にいた人だけに伝わるのがライブペイントの良さだという考えから。
一番好きなモチーフは人の体。筋肉の動きが、墨特有のうねりとかすれで描き出される。

Profile

YU-KI NISHIMOTO(西元祐貴)
1988年生まれ。専門学校在学時より墨を用いて作品制作を開始。現在は店舗の内装、イベントのライブペイントなどに参加している。
問/080-1733-0963 h_nakagawa@genietto.jp
HP/http://yuki-nishimoto.com/

写真・文=柳田奈穂