CIEMA=芳賀英行さん

新しい映画館のスタイル。目指すのは、誰もが集えるパブリックプレイス。

佐賀にある映画館「CIEMA(シエマ)」のオーナー芳賀英行さんが目指すのは、公民館のような映画館。おじいちゃん、おばあちゃんに小さな子どもまで、あらゆる世代が集う場にしたくて、他とはひと味違う映画館の形を提案する。「10年前から福岡で移動式映画館をやっていました。カフェや雑貨屋さん、本屋さんなどで上映イベントをやっていたんです。ある時、佐賀につぶれてしまった映画館を復館させるプロジェクトがあるという話を耳にして、参加させてもらったのが僕のターニングポイント。佐賀に移り住んでこの映画館を運営することに決めたんです」。3つあったスクリーンのうちの1つをつぶして、カフェと本屋を備えたロビーに。映画を見ずに、ふらりと訪れてお茶して帰る客も多いという。ライブや本の読み聞かせなどのイベントも頻繁に行っている。「ここはあくまで箱だから、集まるお客さんがいてはじめて“CIEMA”が完成する。映画館というより、何か面白い事をやっている場所として認識してもらいたいんです。そうして集まった人が映画を好きになってくれればいいなって」。映画館なのに映画を見なくてもいい場所。ちょっぴり偏屈な思いから生まれたのは、誰にとっても居心地のいい映画館だった。


CIEMA=芳賀英行さん
空間を仕切る真っ白なカーテン。シネコンとはひと味違う、優しい雰囲気の内装もシエマらしい。
CIEMA=芳賀英行さん
座席は通常のシートのほか、ソファ席も。ごろり寝そべって映画を見ることもできる。
CIEMA=芳賀英行さん
絵本の読み聞かせや、ゲストを呼んでトークショーなどイベントも様々。ロビーは親子連れでにぎわう日もあれば、心地よい音が響くライブ会場になることも。
CIEMA=芳賀英行さん
休憩室では昭和を感じる古本が読める。

Profile

芳賀英行(はがひでゆき)
福岡県出身。2000年「69’ners FILM」の名で上映イベントをはじめる。’07年「CIEMA」をオープンし、大分県日田市の映画館「リベルテ」の復館もプロデュースする。好きな映画は「ニューシネマパラダイス」。
住/佐賀県佐賀市松原2-14-16セントラルプラザ3階 問/0952-27-5116 http://ciema.info

写真=石川博己 文=生野朋子