人形・ものづくり作家=クサボンさん
人形・ものづくり作家=クサボンさん
人形・ものづくり作家=クサボンさん
人形・ものづくり作家=クサボンさん
人形・ものづくり作家=クサボンさん

アトリエの中に満ちるのは、廃材の宝と自由なひらめき。

 古着、針金、海の漂流物などの廃材を組み合わせて、表情豊かな作品を生み出す人形作家のクサボンさん。「子どもの頃、犬の人形のために父が段ボールで小屋を作ってくれたんです。あの段ボールがこんなに素敵なものに生まれ変わるのかと驚きました」。そんな、“使わなくなったものは工作の材料にする”という幼い頃からの家族の習慣がものづくりの原点となっている。そして、そのままではガラクタでしかない廃材を再び価値あるものへ変身させるスタイルが、クサボンさんの魅力だ。「昔から手芸は苦手でした。でもあえて取り入れることで面白い作品ができるんじゃないかと思ったんです」。針仕事が苦手ならボンドを使い、型紙が面倒なら手の自由な動きにまかせる。苦手な作業に得意な分野を取り入れるという発想の転換によって、クサボンさんは布をつなぎ合わせてきた。「子供たちにものづくりの楽しさを伝えるために、ワークショップを行っています。私がするのは技術を教えることではなく、ひらめきのサポート。彼らの自由な発想をくすぐっていきたいんです」。ものづくりに不正解は無い。唯一のコツはその瞬間の心の動きに素直になること。クサボンさんのものづくりは、等身大の心と向き合う大切さを教えてくれる。


コーヒー豆の袋であるドンゴロスで作られた人形。昔から人の表情をよく観察していたというクサボンさんが作り出す人形の表情は一つひとつ異なる。
廃材や古着は知り合いが持ってきてくれることも。部屋の引き出しや押し入れ、庭の倉庫までにも作品と材料が収められている。
完璧じゃないからこそオリジナルなものが生まれる。クサボンさんの継ぎ目には独特の味がある。
人形・ものづくり作家=クサボンさん
作品だけでなくアトリエ・道具のすべてにクサボンさんのエッセンスが詰まっている。

Profile

日下里絵(くさかりえ)
クサボンの名前で廃材を使った人形をつくる人形作家。造形短期大学を卒業後、工房へ入り1995年に初の個展を開く。現在は門司港の自宅兼アトリエで作った作品を委託店で販売し、ワークショップや個展などにおいても幅広く活動している。
http://omaenchi.com/

写真=高山弘之・中野岳 文=永溝直子