画家・イラストレーター=アジサカコウジさん

「今日は何を描く?」対話に導かれるまま、キャンバスに筆を向ける。

大学を卒業後、学校の先生になるべく教員資格を手にした瞬間、その道に迷いを抱いてしまったというアジサカさん。「“本当に先生になりたいの?”って直前になってよく考えた。結局、24才でフランスに渡り4年半独学で絵を描いた」。絵を生涯の仕事と決めたのが20代後半。福岡に戻り、イラストの仕事と個展のための絵を描きためる日々が続いた。朝起きて、描きたいと思ったものを「本当にこれは描く必要がある?」と自分に問う。赤を足そうか迷っていると、「自分のまだ見ぬものを見るために描いているんだろう」と、もう1人の自分が背中を押す。時にはおてんとう様と、時にはもうここにはいない大切な人と、静かに対話をしながら絵を描く。40才でベルギーに移り住み、ヨーロッパでも個展を開催。不思議なことにアジサカさんの描く人の顔は、海外の人に見せると“アジア的”といわれ、日本人に見せると“外国人ですか?”と問われるそう。生まれ育った日本と、絵を描く場所に選んだヨーロッパ。2つの土地で研ぎ澄まされた感性が、その表情を描かせているのだろう。現在は再び日本へ戻り、長崎にアトリエを構えた。そして朝を迎える度に問う。「次は何を描く?」。対話の中で生まれる一筆がキャンパスを染めていく。


画家・イラストレーター=アジサカコウジさん
’07年に長崎の出島で行った個展。会場は築60数年という古いビル。
画家・イラストレーター=アジサカコウジさん
ベルギーから日本に戻って描いたのは、長崎の街並。「これから住む街を描いたらどうだ?」ともう1人の自分に誘われ、筆をとった。写真は特に気に入っている古い人家。
画家・イラストレーター=アジサカコウジさん
絵を描く仕事場。毎晩11時には床につき、夜明けとともに仕事をはじめる。
画家・イラストレーター=アジサカコウジさん
フリーペーバー『littlepress(リトルプレス)』の表紙のイラストレーションもアジサカ氏。

Profile

画家・イラストレーター=アジサカコウジさん

アジサカコウジ
大学で社会学を専攻し、卒業後渡仏。アパレルの仕事をしながら、独学で絵を学ぶ。現在はイラストの仕事をしながら、長崎のアトリエで個展用に大きな絵を制作中。お披露目は’10年を予定している。
http://www.azisaka.com/

写真=石川博己 文=生野朋子