身につけた人とともに、日々、育っていくアクセサリー。

 0202(おにおに)・おにづかようこさんの作る真鍮のアクセサリーは、磨きをかけすぎないことによる控えめな輝きと、野の花やおはじき、七夕の短冊といった、幼い頃の思い出を蘇らせてくれるような懐かしいデザインが魅力だ。「和ものが好きな友人へのプレゼントにと、集めていたとんぼ玉でかんざしを作ったのがきっかけです。受け取った友人の喜ぶ顔がとても嬉しくて。それから展示に誘われるようになり、彫金教室で学んだ技術を生かしてアクセサリーも作るようになりました」。丸も四角もどこかいびつで、植物のように有機的な雰囲気を持つおにづかさんのアクセサリー。「制作の時に気をつけているのは、完成させすぎないこと。人が身につけて完成するものだから、物足りないくらいがちょうど良いんだと思います」。一つひとつ微妙に異なる形をしたモチーフは身につける人によって表情を変え、その生活にすっと馴染む。時間が経つうちに変わっていく真鍮の輝きは、アクセサリーが育っていくようで愛おしい。「ただただ楽しくて、続けてきました。それに、誰かが喜んでくれる顔を思うとやめられなくて」。今年の0202のテーマは「芽吹く」。今日もおにづかさんの手から作品が芽吹き、誰かの手の中で静かに育っていく。


真鍮のアクセサリーは使い込むほどに輝きを増す。ひとつずつ手作りで微妙にサイズが異なるので、自分の指にぴったりのリングを探すのも楽しい。
かんざしに用いるとんぼ玉の製作は独学で身に付けた。ガラスは温度の調整が出来ていないと割れてしまう。気温や湿度にも左右されるので、最初は失敗の連続だったそう。
自宅の一部を改装して作られたアトリエ。扉を開けた瞬間から、おにづかさんの作品の世界が広がっている。
とんぼ玉の製作工程。芯棒に、色ガラスをバーナーで溶かしながら巻き付けていく作業。固いガラスが炎によってぐにゃりとなる様子は、まるで生き物のよう。

Profile

おにづかようこ
0202という名で福岡を中心に活動するかんざし・アクセサリー作家。かんざしに使うとんぼ玉、櫛などのパーツの製作、真鍮やシルバーの加工もすべて一人で行う。都心から少し離れた静かな場所にあるアトリエで、作品を常時展示・販売している。 住/福岡市早良区田村6-12-38
問/090-7154-5431 http://onioni.petit.cc/

写真=柳田奈穂 文=木下綾