自然体で描かれたイラストたちが、のびのびと動き出す。

アニメーション作家・イラストレーターとしてTVのアニメーションや雑誌、広告のイラストを描いている馬場さん。線はしっかりと描くのではなく、つながっていなかったりぼやけたり、味のあるゆるいタッチで描かれ、色合いもやさしい。日常の出来事から空想上のものまで、題材の幅広さも魅力的。「大学の授業でアニメーション作家、ノーマン・マクラレンのずっと観ていても飽きることのない映像作品を見たことがきっかけで、アニメーション作家に興味を持ち始めました」。大学卒業後、映像制作会社での経験を経て、もっと自分らしさを出せるような仕事を増やそうと決意し「アトデアニメーションズ」を立ち上げる。「その日あったことを思い浮かべ、小さな紙に日常の一コマや情景などを描いています」。街で見かけた老夫婦や、ランドセルを使って遊ぶ小学生など、見ていると”くすっ”と笑えるユーモラスな作品ばかり。また、自身のアニメーションやイラスト制作だけでなく、週2回、福祉施設で創作活動をサポートしている。「彼らは、配色も画材も感じるまま選び、描きたい時に自由に絵を描きます。教える立場であるはずが、純粋に絵と向き合う彼らの姿に多くを学びました」。のびのびと描くことを楽しむ彼らと出会ったことで、その時の素直な気持ちでイラストを描くようになった。「アニメーションでもイラストでも、環境や気持ちの変化で表現は変わっていくもの。その時に感じていることを大切にしたいです。また、描きたい絵を頭で考えすぎると、線が描きたいものと離れていってしまいます。なるべく考えすぎず、自然に手が動くような感覚が理想です」。自然体で描かれた馬場さんの作品は、これからも見る人の心を和ませてくれるだろう。



ニッカーのポスターカラーで制作。ユーモラスな雰囲気と心地のよいゆるさが感じられる。


最近お子さんが産まれたばかりの馬場さん。合わせて象を描くのがブームで取材中にイラストを描いてくれた。


離れをアトリエとして使用。画材は決めておらず、すべて独学で気になったものから挑戦し、使ってみる。


その日あった一コマや情景などを小さな紙に描く。作品のストーリーを自然と想像してしまう。


制作場の壁には、これから制作予定のアニメーションのワンシーンが貼られている。


Profile

馬場通友(ばばみちとも)
九州産業大学芸術学部写真学科卒業後、映像制作の仕事を経て2010年5月より「アトデアニメーションズ」を立ち上げる。アニメーションやイラストレーション制作のかたわら、福祉施設のサポート講師やワークショップを行なう。
http://atodi.org/

写真=安武洋平 文=松本恭尚