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豊前の土地で、「1113」から始まる店の物語。

福岡県豊前市にある「食・モノ・くらし」をテーマにした、1113(イチイチイチサン)は、2013年11月13日にオープンした。
店主の洞口和久さん、奥様の真紀さんの夫婦二人で営んでいる。

豊前のおいしい水や新鮮な野菜を中心に料理した「食」と、二人が今まで出会ってきた中で大切にしたいと思う服飾ブランド・雑貨を扱う「モノ」「くらし」を楽しむことができる。

白を基調にした店内は、かつて真紀さんのお父様が床柱を製作する工房として使っていた倉庫を改装したもの。大きな窓からは畑が見え、天井が高く開放的な空間では心地良く時間が過ぎていく。

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店の名前である1113は、真紀さんのお父様の誕生日、和久さんと真紀さんが入籍した日、そして店をスタートさせた”11月13日”が由来している。合わせてお店の開店時間は11時13分、食事のメニューはドリンク・デザート・フード合わせて11種類、服飾雑貨のブランドは全部で13種類。ついつい人に語りたくなるストーリーもこの店の魅力だ。

かつて服飾関係の仕事をしていた和久さんと幼稚園に勤めていた真紀さんは、いつか二人で店を開きたいと思っていた。場所は当時住んでいた福岡市内で考えていたが、探すうちに真紀さんの実家がある豊前にたどり着いたそう。

「はじめて豊前の水で作ったコーヒーや味噌汁を口にした時に、味の良さに驚きました。この水を料理に使ったら、きっとおいしいものが作れると思ったんです」。

豊前の地で見つけたものは、特上の水質、穏やかな環境、木のぬくもり残る倉庫と、その目の前で収穫できる真紀さんのお父様が育ててきた新鮮な野菜。

日々の「くらし」の中心にある「食」と「モノ」のどちらも大切にし提案していきたいという、今まで想いあたためてきた店のコンセプトを実現できる環境が、豊前にはあると和久さんは確信した。

豊前市は周防灘での水産業が盛んで、幹線道路沿いには田畑が続く。地元の人や観光客で賑わう道の駅のように、新鮮な食材が手に入る場所はあるが、1113のように落ち着いて食事ができ、服飾雑貨が買える場所はまだ多くはない。

そのため店を開くことを決意したものの、当初は豊前の地で商売をすること、かつて倉庫として使っていた建物を改装して店にすることを周りから心配されることもあったそう。

しかし今では、新鮮な食材で作られた料理、こだわってセレクトされたブランド、落ち着く空間、気さくな二人の人柄に引き寄せられ、地元豊前だけでなく近隣の市からも訪れる人が多くなってきた。

「豊前の地で料理やものづくりに携わって暮らす人が訪ねてくれることもあります。将来的にはこの場所で豊前の人たちと一緒に”食・モノ・くらし”をキーワードにして、創作物の展示や、豊前の伝統文化を紹介などできたらと思っています」。

豊前の土地で「1113」から始まったお店の物語は、これからも沢山の人たちを共感させていくだろう。

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Profile

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洞口和久(どうぐちかずひさ)
2013年11月13日「食・モノ・くらし」をテーマにした1113(イチイチイチサン)を奥様の真紀さんと共に福岡県豊前市にオープンする。「11の食」と「13のモノ」を提案するお店として活動する。
住/豊前市大字四郎丸1174-3 問/0979-64-7471 http://buzen-1113.com/

写真=松本恭尚 文=安武洋平