カバン作家=Cotomono(コトモノ)

人や社会とつながる“ものづくり”を目指して。

「“ものをつくる”ということはどういうことなんだろうかと考えながら生きてきました」。以前は広告デザイナーだった今村さん。日々消費されていく広告という媒体に携わっている時に頭をよぎったのは、ずっと考え続けてきた想いだった。「デザイナーの柳宗理さんが好きで、戦争を経験した柳さんの、“ひとり一人の暮らしを良くするような、美しいものをつくりたい”という言葉にすごく感銘を受けたんです」。自分の“ものをつくる”ことに対する想いとその言葉が合致した時、「Cotomono」の作品は生まれた。現在は福岡と東京の展示会を中心に作品を発表。パターンから縫製まですべての工程を自分で行っている。しかし、ロゴ刺しゅうやタグだけは違い、障がいを持つ人や途上国の人が制作したものだという。「“してあげる”ではなくて“一緒に楽しむ”。自分ならどうする?という当事者性をもってフェアな関係をつくっていければ、互いが自立していけると思います」。自分の作品を通してもっと色々な人に関われるんじゃないか、出会った人がやろうとしていることに自分の技術が何かの助けになるかもしれない。今村さんの目には、やりたいことがはっきりと見えているという。作品と、作品に関わる人の笑顔が、ずっと考えていた“ものをつくる”ことの答えなのかもしれない。


カバン作家=Cotomono(コトモノ)
知的障がい者通所授産施設「アトリエ ブラヴォ」のメンバーが描くイラストとのコラボレーション。一つずつ手作業でプリントする。
カバン作家=Cotomono(コトモノ)
「Cotomono」のロゴを刺繍したタグ。刺繍はフィリピンのスラム街で暮らす女性たちが刺したもので、1枚につき500円の労賃をカバン代に含む。
カバン作家=Cotomono(コトモノ)展示会の様子
手に取ってみると魅力がより伝わる「Cotomono」のカバン。写真は「アルバス写真ラボ」で開催された展示会の様子。
カバン作家=Cotomono(コトモノ)
一つひとつ丁寧に制作されるカバンたち。

Profile

カバン作家=Cotomono(コトモノ)今村素子さん

今村素子(いまむらもとこ)
Cotomono(コトモノ)の名前でカバンの制作を行うカバン作家。シルクスクリーンを使ったオリジナルプリントの生地、フランスの古い時代の生地や手染めした生地など、素材にこだわった作品をつくり続けている。
http://www.cotomono.com

写真=石川博己 文=原口昌子